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秘密の時間は私のもの

第24章 2人の帰り道 1人の決意







2人並んで、歩く帰路。


やっぱり体はだるくて、足は重い。


そのため遅くなる歩みに、颯太が合わせてくれているらしい。


またそれにきゅんと胸がなる。


少女漫画等でその効果音を見た時


こんなんないわーっと、バカにしてたが、全力で謝罪したい。



ありましたわ

さーせん



でも、その行動がまた颯太の罪悪感を蒸し返すのか


学校を出てからこの場所まで、十数分。


会話は皆無だ。


先程怒ってないと告げたが、あの掠れ声じゃ


颯太のそれを消す事など出来ず、むしろもっと追い詰めるという結果になった。


そう。だから


ここではっきり“気にしてない。大丈夫だ”と告げれば、この空気も浄化。


颯太の気持ちも楽になり、一石二鳥。


....しかし、先程までのその声がこの短時間で治る筈もなく


声を発せば出るは恐らく、先程同様掠れ声だ。


そうなれば颯太の罪悪感は増し、空気ももっと悪くなる。


悪循環この上ない。


だが、分かれ道までもう少しある。


ずっとこのままではあまりに居心地が悪い。


なにか方法はと考えていると、くんと後ろに引かれる感覚。


見れば、颯太が俺の制服の裾を引いたようで。



「あ.....その、もう」



気まずそうに言葉を発し、きょろっと遠慮気味に視線を泳がす颯太。

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