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秘密の時間は私のもの

第24章 2人の帰り道 1人の決意

その視線につられ、辺りを見回せば、そこはもう、まだだと考えていた分かれ道で。



「.......」

「.......」



“分かれ道までこんな空気は耐えられない”


だったら、分かれ道まで来ちゃってお互い離れる。


そうすれば、そんな空気に飲まれることもなくなる。


悩む必要もなくなるし、万事解決じゃねぇか!


......なんて、そんなこと全然思えなくて。



このまま離れたら、明日からどうなるんだ?

颯太のことだから、俺を見る度に辛い顔を....?



そんなことばっかり頭を過ぎる。


そのため、その場から動けない俺。


そんな俺を見越してか、颯太が声を出す。



「え、っと......ま、またあし....た...」



無理に言っている感じからして、颯太も同じ様な事を考えていたらしい。


でも、普段あっさり離れるのに引き止めるのは、なんて思ったんだろう。


俺と目が合えば、にこりとまた無理して笑われて。


そんなのを見せられた俺は咄嗟に


俺に背を向けようとする颯太の手を掴んだ。



「っ.....」



声はやっぱり出しにくい。


よって俺は、ジェスチャーで近くにある公園の方角を指した。


公園は見えないし、それだけで伝わるか不安だったが


颯太はその方向を見て、察したようで


首を縦に振ったのだった。

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