秘密の時間は私のもの
第30章 借し
図書室の出来事から早1ヶ月。
あのあとの出来事を教えてやろう。
開口1番、ルール4不適用の話を予想していた俺。
ここで分かる、自分の中にある颯太の優しさへの甘え。
結局、俺は、嫌われる勇気も離れる勇気もないのだ。
あの颯太のことだから、何をされてもきっと俺を許してくれるし
さらにルール4が不適用になってしまえば、とさえ思ってる。
その証拠に、嫌われずともルール4が適用されれば
颯太は自然と離れていくのに
俺はそれを不適用にしてやる、なんて言っていやがる。
本当、決意がグラッグラ過ぎて笑えるわ
流石にこれでは男が腐る。
ここはルール4不適用の話が出たら、即キャンセルをしよう。
それで颯太が上野との恋路を渋るなら、本気で嫌われにいこう。
と、ここまで考えていたわけ、だが......
起きた颯太からは、俺への言葉なんて何一つ掛けられることなんてなかった。
それどころか俺の顔を見ることもせず立ち上がると
それはもう光の速さ。
図書室を出て行って、姿を消した。
そのあと図書室に戻ってくることもなく
翌日から俺の前に姿を現すこともなくなった。