秘密の時間は私のもの
第32章 1ヶ月の出来事①
言われた時間。
ちょうどぴったりに、と言われ重い足を運んだ。
絶対にいる訳がない。
そう信じて、止まなかったのに。
僕が会いたかった人は、そこにいて。
僕に、手を振っている。
『大丈夫。信じろ。必ず、いるから』
......ありがとう....上野....
心の中でお礼を言い、手を振るその人へ、僕は歩を進めた。
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僕は、どうして逃げるようにあの場から離れたんだろう。
引き返して、亞にルール4不適用を確固たるものにしてもらわないと。
亞と話せなくなるよ?
もう一生、顔も、合わせずに.....
「っ......」
嫌だ、嫌だ。
そんなの、嫌だ。
僕と、亞は、親友、なのに.....!
本当に?
もう1人の正直な自分が、僕の思いに問いかける。
ざわりと僕の胸が騒ぎ出す。
脳裏にはさっきの亞の表情がチラチラちらついて。
親友....?思ってもないくせに
良いじゃん。認めちゃえば
止めて。止めてよ
壊さないで。“僕”という存在を
だってさ、亞の表情、見たんでしょ?
感づいたんじゃないの?
違う。違う
僕は、何も気付いて