秘密の時間は私のもの
第35章 デート③
気付けば陽が沈み始める頃。
周りを見渡せば、人もまばらになってきた。
そんな中、俺と颯太はこの遊園地の見所の1つらしい大噴水の前にいた。
まあ、肝心の大噴水は時間がまだらしく
小さい噴水が上がっていた。
その縁に隣同士で座り、喋らないこと数十分。
やはりフラれるなら、自分から話を振った方が傷は浅いのだろうか。
だとしてもどう話を振る?
“あー、今日はさ、あれっしょ?俺、フるために来たんしょ”
軽い。軽過ぎる。
まるでフってほしいみたいじゃないか。
いや、出来ればもう分かってるんで
ひと思いにやって欲しい気持ちもあるが。
この言い方は流石にあらぬ誤解をされそうだ。
もっと固めに、されど颯太が気を使わなそうな.....
って、俺は何自分がフラれるまでの導きを真剣に考えてんだ
実に虚しい。
やっぱりここは、颯太から口を切ってもらうのが良さそうだ。
自分から話を振った方が、と思ったが
そもそもが知ってるんだから、大して変わらないのかもしれない。
さぁ、颯太、カモン
そんな俺の念が伝わったのか、颯太が息を吸う音。
俺も構え、覚悟を決める。