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秘密の時間は私のもの

第35章 デート③

口を開き、言葉となってそれは.....


出る、手前。



「ん....」



颯太の口を手で塞ぎ、止めたのは、俺自身。


俺をそうさせたのは


覚悟を決めた、その奥で出てきた女々しい気持ち。



颯太は、俺が、好きだ

俺も、颯太が、好きだ


じゃあ、なぜ?


なぜ......



俺はフラれなければいけない?



両想いなのに、なぜ、なぜ....



その答えはよく分かっている癖に。


そもそも俺のこの気持ちが、あってはならない存在なんだ。


元々舞台にいたのは颯太と上野。


俺は、その2人が付き合うまでの過程を見る観客。


そうでなくてはならなかった。


なのに、勝手に舞台に上がり


そのシナリオを無茶苦茶にしたのは俺だ。


そんな俺が、報われる筈がない。


報われて、いい筈が、無いんだよ。



なぁ、分かってるだろ?

だから、その手、外してやれよ

往生際がわりぃんだよ....



かっこ悪く震えている手を、もう片方の手で引き下げる。


颯太の優しさを引き出さないように、必死に笑顔を作る。



「わりぃ。颯太に掌にキスして欲しいなーなんて思って....
これ、俺、変態っぽいなw
すまん。言葉遮って。どうぞ」



少し苦しい止めた理由を話し、話を促す。

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