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秘密の時間は私のもの

第35章 デート③

そんなに大きい(体重的に)訳でも、ごつい訳でもないのに.....


多少の違和感。


だが、そんなことを追求してても仕様がない。



「颯太、ちょっと手伝って。この人、結構重い」

「う、うん」



颯太は、体格的に細いし力がないのは分かっているが


男であることに変わりはない。


流石に2人掛りなら、とせーのでしてみるが、やはり動く気配がしない。


と、いうより.....



「....ね、ねぇ、亞。なんか、その」

「あぁ、俺も感じた」



この男、自らの意思で反抗してやがる....



つまり、すこぶる元気ってことで。


ふざけやがって。


こっちは必死に助けようとしてやったのに。



「颯太、ほっとこうぜ。人の善意、遊ぶような奴、俺、嫌いだ」

「.....うん。そうだね...」



どこか煮え切らない颯太の手を、無理矢理引き、立ち去ろうとした時。




「...っ!そろそろ出てこいよ!裏切り者!!」




聞き覚えのある声が、耳に入る。


俺より先に振り向いた颯太から



「やっぱり...」



そんな言葉が聞こえたと同時。



「はぁ....本当、情けないですね」



俺は久しく見ていなかった、あの変態女の姿を捉えたのだった。

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