秘密の時間は私のもの
第36章 尾行
俺は今、滝波と共に遊園地内、レストランにて
窓越し、デート中の立川と藤塚を見ている、のだが
.....どうしてこうなった...?
........いいや、分かってるさ
自業自得なんだよ....
俺の意思など関係なく
俺の前を行く滝波に、律儀に付いて行ったのも俺。
辿り突いた遊園地が藤塚と立川が
デート中のそこと分かっても、引き返さなかったのも俺。
はたまた、案の定、デート中の2人を見付け胸が痛んだにも関わらず
留まる意思を見せたのも俺だ。
はぁ、と思わず溜息も漏れるというものだ。
俺は、バカかドMか
付き合ってる奴(仮)が
他の男と楽しそうにしてるのをわざわざ見て、胸を締め付けられてるとか....
「意外でした」
ポツリと呟かれたその言葉。
視線は2人を捉えているから独り言かとも思ったが
とりあえず、話かけられている体で返事を返す。
「何が?」
「.....どこかで、逃げるのかと」
的確すぎるそれ。
そりゃそう思うわな
誰だって付き合ってる奴(仮)と他の男が
楽しくしてるのなんて見たくないしな
だけど、不思議と“逃げる”という選択肢は頭に浮かばず。