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秘密の時間は私のもの

第36章 尾行

あぁ、分かる。分かるさ。


1人でうんうん頷いてる人いたら、俺だって変な人だなーって思う。


嫌悪感、とまではいかないけどな。



「ひっどい顔だぞ。滝波」

「何1人でに頷いてるんですか。怖い、通り越して気持ち悪いです」

「通り越すな。まだ怖いの方が可愛げあるわ
本当、可愛げねぇな。普通にしてりゃあ、可愛いのに」



“可愛い”


前々から思っていたそれ。


ぽろりと口に出てしまい、ハッとする。


また、気持ち悪いだの言われる前に、と口を開こうとしたが


滝波の反応は意外なもので。



「....可愛い....」



頬を染める、まではいかないが、どうやら照れている様子。


あまりに意外な様子に、言葉が詰まる俺。


でも、照れる、で終わらないのが滝波。


思考はもう、違うところにあるようで、何か考え込んでいる。


滝波の次の言葉に、嫌な予感しかしない俺はぐっと構える。



「......どこが、ですか?」

「.....へ?」

「だから、私のどこに可愛さがあると?」



それを率直に聞いてくるあたり、滝波らしいが


思っていた言葉とは全く違くて俺は、ぽかーんと拍子抜け。

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