秘密の時間は私のもの
第36章 尾行
「そうだな。滝波、化粧してねぇだろ?それなのに、長い睫毛と大きい瞳
くっきり2重とくれば、可愛さの真骨頂
唇もぷるぷるで、きれいな赤。世の男性は思うんじゃねぇか?
キス、したい......って.....」
..........これ、めちゃくちゃ恥ずかしくねぇか?
全て、本心というのがまた恥ずかしさに拍車をかける。
顔に熱が集まるのを感じ、隠すため下を向く。
完全なる自爆。
笑いたければ、笑えと思うも、滝波から出た言葉は
「誠実なのに天然たらし....いや、照れてるから堅実ではある?
......属性の宝石箱やぁ...」
そんな呪文。
ちらりと視線だけ向ければ
キラキラと、今までにない瞳の輝きをしている滝波が見えた。
.....本当、こいつ、分かんねぇ...
崩せたには崩せたが、どこか腑に落ちない。
はぁと溜息を吐き、顔を上げる時。
見えたのは滝波の耳。
ほんのわずか、本当に目を凝らさなければ分からぬ程だが
確かに、赤く、なっていた。
にやり、と口角を上げれば、またも滝波に変な視線を向けられたがもう気にしない。
滝波が知らないこの勝負は、俺が勝利したのだから。