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秘密の時間は私のもの

第36章 尾行

なのに、藤塚は目一杯力を入れて俺を起こそうとする。


正しい対応なんだ。


しかし、できれば今は変なやつだとスルーして欲しい。


思っていれば引っ張る手は1人増え


せーの、で引き上げてきやがる。


俺も目一杯反抗すれば、流石に違和感を感じたのか軽蔑の眼差しを向けられた。



いい。それでいいから、はやk...



と、その時。


思い浮かんだのは、滝波の言葉。



『絶対に“バレて”下さいね』



っ....くっそ.....



これでしなければ、どうなるって訳でもないだろうに


俺んおプライドは許さないらしい。


ぎりっと奥歯を慣らし、助けてくれなかった滝波への怒りをたっぷり込め


体を起こして、去ろうとしている2人が振り返るほど大きな声で



「...っ!そろそろ出てこいよ!裏切り者!!」



そう叫んでやった。


若干、裏切り者を強めに言ったのは仕方の無いことだ。


怒りが詰まってるからな。


先に振り返ったのは立川で、目がバッチリ合う。


その小さく可愛い唇は



「やっぱり...」



と音を発し



やっぱり....?



そんな疑問を持つと同時。



「はぁ....本当、情けないですね」



滝波の呆れきった声が、俺の耳に入ってきたのだった。

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