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秘密の時間は私のもの

第36章 尾行

驚くほど強い力で、痛いと感じる程。


振り解こうにも振り解けなくて。


離せと言おうとして、見えた滝波の眩い笑顔。


ぞっと背筋が凍った気がした。



「た.....滝波....?」

「そんなに、この役したいなら譲りますよ
その方が、私も嬉しいですし
その代わり、絶対に“バレて”下さいね
いざとなれば、助けるので」



今1度、にこりと笑ったかと思えば


俺の体を2人の元へ放り投げやがった。


本当に、そんな力が、どこに....


思っている内に、俺は藤塚と立川の前に倒れ込んだ。



「........」

「........」



静まり返る辺り。


集まる視線。


多少の殺意。



な、ぜ、こ、う、な、った....



“いざとなれば、助ける”



確かに滝波はそう言った。


俺としてはもういざとなっている訳だが


滝波の足音は愚か、気配すら感じない。



まさか、もういない、とかはないよな......?



容易に想像がつき、確かめたい衝動に駆られる。


しかし、顔を上げれば、バレる。


さっき思った


“こんなダサいバレ方は嫌だ。第1位”


をしてしまうことになる。

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