秘密の時間は私のもの
第38章 秘密の時間は
「葉結ちゃん、お願いがあるんだ
僕が、葉結ちゃんに同意を求めたら
何も考えず、首を縦に振って欲しい
お願いね」
私のバイト先にわざわざ赴いて
颯太くんは、そう、笑顔で告げたんだっけ。
あの時の私は颯太くんの言葉の意図を、全く汲み取れず終いで。
でも
「好き同士、愛し合って、イケないことなんて何1つないんだよ」
「そうだよね。葉結ちゃん」
そこで私の役目が来た時、ようやく分かった。
私がここで、同意をすれば
颯太君が言った言葉は、あたかも私の受け売りのよう。
全て、颯太くんの本心なのに
颯太くんは自分は綺麗なままと可愛いままと
2人に思わせるため、私でカモフラージュをしたかった訳だ。
「..........そうですね」
いつから?どこから?
颯太くんは
“2人とも僕のものに”
そんな考えに変わったのだろう。
“颯太くんの欲のため颯太くんに利用された”
その事実は、ちょっとでも颯太くんに情が湧いていた私を悲しめたけど
颯太くんが計算高いキャラもまた、物語が映える。
瞬時にそんな風に私の脳は働いた。
創作者の鏡だ。
本性は小悪魔な主人公が、攻め2人を翻弄する。