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秘密の時間は私のもの

第38章 秘密の時間は

それで、粗方のストーリー構成は出来上がった。


......のに、だ。



「まさか貴方も気付いているとは思いませんでしたよ」

「は?何言ってんだ?」



この藤塚亞という男は


あっさりその構成を崩して下さった。


颯太くんが2人の腕の中で目を覚まし


それはそれは幸せそうに擦り寄った時。


藤塚氏が放った言葉は



「颯太、俺、充分幸せだしさ
上野とだけ、これからの青春送ってけよ
上野にお前の好き全部あげればいい
颯太、好き“だった”よ。ありがとう」



そんなさよなら宜しくな台詞。


私の構成、颯太くんの願望共に呆気なく崩れた瞬間。


颯太くんは何かを言うのだろうかと


顔を歪めるのだろうかと思っていたのだけど


そんなことは、全くなく。


一瞬、笑ったようにも見えたくらい。


その笑みは、その垣間見得る余裕は


“ストックが1つ減ったって構わない”


そんなところ?



「.....じゃあ、もう、僕らは赤の他人...?」



上目遣いで、少し切なく話す颯太くんを


私はもう、純粋に可愛いとは思えなかった。



「“俺らは友達”、ですか」

「何か不満でも?」

「全く」



賢明な判断だったと珍しく、貴方を賞賛しますよ。えぇ



小説的に非常に美味しい設定だとは思うけど


正直私の好みの受けキャラではないのだ。

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