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秘密の時間は私のもの

第38章 秘密の時間は

そんなことで、うーんと悩む私に呆れたように藤塚氏が言葉を続ける。



「まあ、どうでもいいけどよ
キモいから止めろ」

「キモい とは」

「お前が俺のこと考えてることだよ
らしくなくてサブいぼ立つわ」



......私もサブいぼが立ってきた。


そう考えると確かにとてつもなくキモい。



「そうですね。止めましょう....」

「この話自体止めよう
終わったこと嘆いても仕方ねーし」



それも、そうね



気持ちを切り替えるため、1度伸びをすれば


開いている窓から、少し暖かい風が入り


私の頬を掠めた。


視線を、外に向ければ、門に向かって歩く生徒達。


そうだ。今は放課後。


私はあの言葉を告げた藤塚氏のことが気掛かりになり


藤塚氏のクラスにやって来たんだった。


もうそれも無用だと分かったし


私もそろそろ、とその場から離れようとした時。


藤塚氏に声を掛けられる。



「お前、途中から小説見せなくなったけど
あれ、どうなったんだ?
同人誌、だっけか。出来たの」

「.....さて、どうでしょう」

「は?人のこと題材にしといて未完なわけじゃねぇよな」

「あ、颯太君達が見えます」

「おい、無視すんな」



あの物語をあそこで終わりにする気は無いけれど


筆は、止まったまま。



だって、勿体無いじゃない

こんな体験、世に出すなんて



だから、もう少しだけ


彼らの秘密の時間は私だけのもの



Fin

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