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特別刑務所(仮)

第10章 風邪。

瀬川が帰ってからしばらく九条の部屋の前で立ち尽くす。
入るか、入らざるべきか。
瀬川曰く九条は眠ったばかりとのこと。
ただ、気になる。
お昼をすっぽかしたってこともあるけど・・・・
やっぱり風邪の時はそばにいて欲しいんだ!って何かで見たし。
どうしよう。
でも駒場から無駄に立ち入り禁止って言われ・・・・俺どこで寝よう。あ、したのソファーで良いっか。毛布あったし。暖房いれれば一晩くらい。

「・・・・瑠依?」

そんなこんな、扉の前で考え込んでいるとドアが開き、九条があきれた顔で俺を見下ろしていた。

「あ、あのね。そのね、側にいてやる。ん?あれ?そばにいて良い?あ、違う。えっと、」
「・・・・側にいてくれるのか?」
「えっと、ダメ!駒場に怒られる!」
「駒に?」


うん!と、頷くとそうなんだと言って頭を撫でる。
九条の手が髪の毛に触れるその触り方が案外心地良い。

「・・・・猫みたいだな。」
「え?」
「何でもないよ。」

九条は珍しく優しく微笑む。
その瞬間俺は確信した。

「九条!まだ寝てなきゃダメだよ!」
「え?ああ。」

九条をベッドへ戻し部屋を出る。

絶対あれだ。
これはまだ、熱がある!

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