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特別刑務所(仮)

第19章 駒場。

幼い頃から英才教育を受けていた。
駒場家は由緒ある医療家系。
父も母も上の兄2人ももちろん医者だ。
おれ自身、物心つく頃には医療書を絵本がわりに読んでいた。それは、自分が望んでのことではない。父や母、兄たちに引かれるがまま走らされる列車そのもの。
行き着く先は決まっていた。
それに反抗しようと思ったことはない。
それが、俺にとって当たり前の世界だったから。
幼稚園から有名私立に入れられ勉強の日々。親しい友人も作らずただただすごす日々。人間の価値は勉学にこそある。父の教え。必要以上に人と接する必要はない。母の教え。常に物事を客観視すること。兄たちの教え。それをただ、忠実に守る。
大学はもちろん医学部。国内最難関と言われる大学にストレートで入る。そんなことは当たり前だ。これが出来ないようなら生きている価値すらないと父に言われ必死で勉強した。
医師免許を取得し後は父の病院に就職すれば俺の車両はゴールへたどり着ける。
はずだった。
父の病院の闇に触れるまでは・・・
病院で行われる闇取引。
大金をつまれ嬉しそうに笑う父に寒気を感じた。闇を知れば知るほどになぜだか、父に反抗する気持ちが芽生えた。
そんなある日の事、俺の運命を変える一通の手紙が届いたのは・・・

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