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特別刑務所(仮)

第19章 駒場。

駒場和明様と珍しく俺の宛名で届いたそれは政府からの手紙。
封筒を切り書類を出すと刑務官募集の通知が入っていた。
もう忘れてしまったが、自分の心を揺さぶるようなキャッチコピーがそこには載っていた。それに魅いられ気がつけば応募していた。
それはもう、家族からは会議をかけられ説得される始末。
したなしと、応募を取り止められないか電話を入れると向こう側から意外な答えが帰ってきた。
大学を卒業するまでは親の言う通りに生きる。その後は家を飛びだしてこちらに来てしまえばいいと。
それなら今でも良いのでは?と聞くと、医師免許を取得するためには卒業しなければならない。つまり今そこを離れるメリットは何もない。そう回答が帰ってきた。
なんとなく、その事に納得し俺は卒業まで大人しくしていた。
そして、家を飛び出しはじめて自分でレールをしき走り始めた。

とはいえ、家を出る日の朝は大変だった。
父親は激怒し母親は倒れる、兄たちには罵られる始末。

「悪いけど、俺は俺のやりたいように、国のために働く。」
「お前のようバカを育てたのかの思うと俺は今まで頭がどうかしてしまっていたのか?」
「父さん・・・」
「もうお前は息子でも何でもない。野垂れ死にでも、犬死にでもすればいい!」

それが家族にかけられた最後の言葉になった。

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