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特別刑務所(仮)

第19章 駒場。

「俺を撃ち殺してほしい。」

あー、驚かしてしまった。
ま、俺だっていきなりこんな頼み事されたら驚くし困る。
だけど・・・

「さっきの彼が言っていた君が殺した刑務官。あの彼に頼まれていたの見たんだ。渋る君にこんな異常な場所で人格が壊れただの人殺しになるくらいならいっそ殺してほしいって・・・
自害でもしろって冷たく言い放つ君にそれは無理だから頼んでるんだって泣きつかれて仕方なしにやったのを知ってるよ?」

「見てたのか?」
「まーね。だから」
「だから、もう誰をやってもいいだろってか?」

震える声で俺に訴える。

「違う。ただ、俺は今まで父や母の言う通りに生きてきた。それが正しいと。だけど医者になるときに父が大金を積まれ裏取引をしているのを知って寒気がした。こんな人間になりたくないって。初めて・・・」

「初めて父に反抗したいと、このままじゃダメだと自分の意思で考えた。そして、この道に進んだんだ。それなのに俺は・・・
ただ、人を救いたかっただけなんだ。それが今じゃただの人殺しじゃないか。このまま、闇が自分を覆って何も考えられない犯罪者になりたくないんだ。」

「それに、勝手に俺は君を友人だと思っている。
そんな君に殺されるなら、本望だって。だから。君に嫌な思いをさせてしまうのもわかっている。だけど、だけど・・・」


そこまで言うと九条はわかったと、了承してくれた。

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