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特別刑務所(仮)

第22章 瀬川。

「俺が一番、朔は二番だ。」

壊れたように何度も事情聴取で呟く俺は、精神異常者扱いされ監獄に入れられた。それから程なくして特別刑務所に移送された。

「希沙君。」
「え?」

暗い道を一人歩き、やっと出た光の向こうにいた人は俺の名前を呼び、俺を一人の人間としてみてくれた。

「和は俺が怖くないの?」
「そうだな、俺も人殺しだ。希沙、俺はね国のためによくやったと大義名分を掲げられ、それに傲りそうになる自分が一番怖い。」
「・・・?」
「俺はいつまでも引かれたレールを走ってるのかな。人を殺すのも、金のために命を救うのも、何が違うんだろうな?なー、希沙・・・」

あの日の夜俺の何気ない質問にそう答える和の言いたいことがよくわからなかった。
でも、数日後まるで何かから逃れるかのように俺に襲ってきた和を見て傷ついてきたんだって、幸せそうな人でも深い傷があるんだってそう思って・・・
俺を怖がらずに、俺を一人の人間として受け入れてくれた和を俺も全部受け入れようってその日からずっと、側にいて支えようって思ったんだ。

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