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特別刑務所(仮)

第8章 狩野。

「ふー。」

鞄から商品を出していると先程まで無言だった店長がため息をこぼし、続けた。

「君はこれくらい良いだろう。そう思って取ったのかな?万引きは犯罪なんだよ。君まだ小学生だろ?こんなことでこれから先どうするつもりなの?一生を棒に振ることになるんだよ。」
「・・・・・・」

大人二人に睨まれなにも言えず下をうつむく。
その姿に店長は泣いていると勘違いしたのだろう。

「君に取られていたら泣きたいのはこっちだったよ。」

取らなきゃなにも食べられない。仕方ないじゃないか。
頭ではいっぱいある反論の言葉はとうとう口から出ることもなく、30分ほど説教をされ解放された。

「はー。今日食べ物どうしよう。」

そう呟き誰も待っていない廃墟と化した我が家へ帰る。

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