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特別刑務所(仮)

第8章 狩野。

それでも俺は頑なに動くことを拒む。
それは逆らいから来るのか、それともただ恐怖で足がすくんで動くことを拒んでいるのかまたはその両方なのかはわからない。
ただひとつわかるのは俺は一歩も動いてないって言うことだけ。
そんな俺を二人は呆れたように見つめあい、木下が相槌をうったその直後くらいのことだった。腹部に鈍い痛みが走り意識が飛んだのは。




体が浮いている感じがする。
殴られたと思う部位はずきずきと脈をうちながら痛みを主張する。

「気がついた?もうすぐうちにつくからもうしばらく大人しくしてようねー。」
「っ・・・」

どちらにしても体が動かない。
肩に担がれている俺は後ろから誰か来たら丸見えであろう。
だが、そんなことすらどうでも良くなるほどに殴られたところが痛む。
それからしばらくして家が見えてきた。
家にたどり着く頃には大分痛みは引いていていたが、痣になっているのは確実だろう。そんなことを考えていた。

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