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片思い

第10章 固想い

富岡 駿side


***

目の前に息を切らした女がいる。

同じクラスの金沢零だ。


なんだ?


…………。
コクられた。
人生で初だ。


驚きを隠せない。



こいつ…俺のこと好きだったのか…?
だってそんなそぶりあったか?
でも俺、女苦手だし…

好きとかそういう感情よく
わかんねーし…


「ごめん…。」


おれはそう言うしかなかった。
不器用な俺はいい言葉が見つからなかった。



「そ…っか…」



やべ…
少し目が潤んでる。
もうちょっと違った言葉
言えばよかった。


女泣かせちゃったよ。
っと思ってた。


でもあいつは違った。


「バイバイ」

金沢零は最後に笑顔で言った。



その笑顔があまりにも
儚く切なげでキレイな笑顔だった。



だけど図書室を出る瞬間に涙が光った
のが見えた。

あいつ…泣くの我満してたのか?
なんなんだよ…
どうせなら泣けばいいのに。


少しドキってしたじゃんか…



でも、やっぱり恋って俺はよくわかんない。





続きの本を読むことにした。


…………

「なんだよ…」

頭から金沢零の笑顔が離れない。
今にも崩れそうな笑顔。


「帰ろう…」

俺は図書室をあとにした。

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