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妄想はご自由に

第7章 日常はこんなもの

駅に向かう帰り道
木村さんを見かけた

一緒に帰ろうと
喫茶店に寄ってコーヒーを飲むことになった

お店に入るとマスターが優しく迎えてくれた

彼が周りを見ながら言った
「素敵なお店だね」

そう言ってメニュー表を眺める

「へぇ コーヒーだけでも種類があるんだね
 お薦めは?」

「カフェオレしか飲まないから」
ごめんなさいとお詫びすると

メニュー表を見て笑っていた



マスターが注文を取りにきた

「カフェオレとブラックを」

マスターはかしこまりました
と言って戻った

「ブラックなんてメニュー変わってるね」

確かにメニュー表にはオリジナルコーヒー ブラックとある

「常連さんがブレンドをいつもブラックって注文するですよ。だからいっそメニューを変えたんですよ。」

マスターが教えてくれた。
ごゆっくりと言って下がっていく。

コーヒーの香りが二人を包む

「このお店、もうすぐ閉店しちゃうんです。
最後にクリスマスコンサートするんです」

一緒にどうですか って

一言が出てこない

「クリスマスって第九だよね」
木村さんがポスターを見ながら言った

「興味 ありますか?」
1オクターブ高い声で力がこもっている

「ごめん 知ってる曲ってだけ」
あまり興味は無いらしい

「クリスマスは家族サービスで大変だよ
 パーティーの準備や大掃除で大忙しだよ」

笑顔で言われるとツライ

貴方が好きです

言いたくて 何度も飲み込んだ言葉

言っても良いですか?

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