テキストサイズ

A heart and wound

第6章 揺らぎ

潤Side

和「潤、風呂ありがと。」

潤「あ…うん…」

風呂上がりのかずは、髪を拭きながらリビングのテレビの前に直に胡座で座った。

潤「あ、なんか飲む?…お茶でも…」

和「大丈夫。それより…そろそろ、聞いてもいい?」

俺は、一つ深呼吸をした。

潤「…うん。」

和「…ここ、おいで?」

そう言うと、かずは髪を拭いていた手を止めて、腕を広げた。

潤「…え、えっと…」

和「もー!おいでってば。」

片手で、ぱんぱん、と軽く自らの膝を叩いた。

あ、えっと…そこに座れって、ことですか…ね?

そろーっと、かずに近づき、かずの膝の上に背を向けて座ると、後ろからぎゅっと抱きしめられた。

和「…そんな緊張しなくていいでしょーよ。もっと恥ずかしいことしたんだから。」

潤「ば、ばか、言うなよ///」

和「ん?なんで?事実でしょ?」

潤「んでも、恥ずかしいだろ!!」

和「…結構今更よ?何日前の話してんの。」

潤「で、でも…あれから、かず、俺に触れてすら来なかったし…」

和「あれ?さみしかった?触って欲しかった?」

いたずらっ子のように、かずは、ふふっと笑った。

潤「ばか。」

和「いーよ、ばかで。」

…堂々巡りで、真剣に受け答えするのが馬鹿らしくなってきて、そう思ったら、なんだか自然と肩の力が抜けた。

和「ふふ…ほら、やっと力抜けた。」

そういって、より一層力を込めて抱きしめられた。

…さらっと、俺の気持ちを汲み取ってくれて。

それをさりげなくほぐしてくれる。

…かずのこと、好きになれたらどんなにいいか。

潤「…ありがと。」

小さな声でそうつぶやいた。

和「ん?」

潤「なんでもない…」

和「…そう?」

ニヤリと笑ってそう答えた。

絶対聞こえてたくせに、聞き返してくるんだから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ