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A heart and wound

第6章 揺らぎ

和「…じゃあ、ゆっくりでいいから、話してくれる?…泣いてた理由。」

どうせまた泣いちゃうでしょ?

そう付け加え、俺の頭をぽんぽんっと撫でた。

潤「…泣かねーよ。」

和「なーに言ってんの、本当はすっごいヘタレで泣き虫のくせに。」

潤「…はぁっ⁈んなことねぇよ!」

和「はいはい。」

まるで小さい子をあやすように、俺を抱きしめ、髪を撫でる。

その手がとても、優しくて、あたたかくて。

涙が出そうになったけれど、なんだか言われた通りになるみたいで、悔しくてぐっと堪えた。

和「だから、泣いてもいいって。…我慢は毒だよ?」

…やっぱりバレてるし。

それから、しばらくかずも俺も何も言わなかった。

静かな部屋に、かずが手を動かす時におきる衣擦れの音と、鼻をすする音が響いていた。

潤「…今日、さ。かずと別れて、先に楽屋、行ったじゃん?」

しばらくして、落ち着いた頃、ゆっくりと話を始めた。

潤「…楽屋に着いて、俺、考えごとしてたから、ノックもなにもしないで扉開けたんだ。

…そ、そしたらね?」

そこまで言って、言葉につまってしまった。

かずは、俺の髪を撫でる手を止めて、ぎゅっと、手を握ってくれた。

…俺は、大きく息を吸った。

潤「…あんまり、ちゃんとは見てないんだけど…見ちゃったんだ。…相葉さんが、ソファに翔くんを押し倒して…キス、してたの。

翔くんの姿は、見えなかったんだけど…声、聞こえて。

それが…聞いたこと無いような声で…」

…声が震えて、どうしようもなかった。

かずは、俺を膝から下ろすと、俺の上半身をくるっと反転させて、正面から抱きしめた。

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