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A heart and wound

第7章 疑櫂


翔ちゃんは、実は結構な甘えたで。

潜在的に、本当はそういう人なんだろうなって。

そういう普段見せない部分を、俺に見せてくれてるのが、どうしようもなく嬉しくて。

反対に俺は、世話好きだから。

甘えられるのが心地よくて。

…この時間がすごく好きで。

取られたくない、大切な大切な時間。

雅「…はい、出来た。」

翔「ん。…ありがと。」

ソファに座りなおすと、しばらく沈黙が続いた…

それは、いつもの心地の良いものではなくて、重くてずっしりとしたものだ。

翔「…雅紀、あのね…⁇」

ようやく、翔ちゃんが口を開いた。

雅「…」

翔「お、俺…すごく無神経なことしてて、すごく大切な人のこと傷付けてたの。
…その人とのこと、ちゃんと考える時間が欲しい、だから…」

雅「…距離、置きたいの?」

…少し、威圧的に言いすぎたと後悔した。

それでも、俺は止まらなかった。

雅「…それって、リーダーのことなんでしょ??」

そう言って、立ち上がると、翔ちゃんはビクッと肩を震わせた。

雅「ねぇ、翔ちゃんは、俺よりも…リーダーのことが大事なの…⁇」

翔「そういうことじゃなくて…」

雅「じゃあ…どういうこと?」

翔「お願い、話を聞いて…

落ち着いて…お願い、雅紀。」

そう言うと、泣きそうな顔をして、俺の腕を掴んだ。

その顔を見た瞬間、どうしようもない罪悪感が、一気に俺を襲ってきた。

大切にするって決めたのに、こんな顔を俺が…させてるの⁇

雅「…ぁ…、ご、め…翔ちゃ…俺、俺っ…」

上手く、息が出来ない…

立っていられなくなり、その場に崩れ落ちた。

翔「雅紀っ⁈」

翔ちゃんが、そんな俺を咄嗟に支えて、ソファに俺を座らせた。

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