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A heart and wound

第2章 甘い、切ない。

和『…1人にしないから、大丈夫ですよ。…どうしたの、翔さん。』

翔『にの…俺、もう…潤のこと、追いかけ続ける自信も、勇気もないよ。』

そう、ぽつりと呟き、話を続けた。

翔『潤さぁ、俺の前で笑わないんだ…俺と目すら合わせてくれない。』

…翔さんは、自分のことには本当に鈍感で。

その、潤くんの行動の意味は翔さん以外のメンバー全員が分かってた。

潤くんは、翔さんのことが好きなんだと、目すら合わせないのは、好きすぎて顔も見れないからなんだと。

…俺がそれを言ってあげたら、翔さんは楽になったかもしれない。

潤くんと、翔さんは幸せになったのかもしれない。

…それでも、俺にはそれが出来なかった。

だって…そんなことしたら、翔さんは潤くんのものになってしまう。

…俺のことを好きになって欲しい。

でも、そんなの無理なことはわかってる。だから、せめて誰のものにもならないでほしいと、そう俺は願ってしまったから。

翔『…俺、なんか嫌われるようなこと、したかな?』

翔さんは、顔を上げて俺を見た。

…その顔は今にも泣きそうで。

俺は、たまらなくなって、翔さんの肩を掴むと、翔さんの唇に自分のそれをそっと重ねた。

…しばらくそのまま、ただ、唇を重ねていた。

唇をゆっくりと離すと、翔さんは驚いて固まってしまっていた。

和『…ごめん、翔さん。…もう、しないから…』

俺は、なんてことをしてしまったのだ、と思った。こんなことしても、意味ないのに。

でも、次に翔さんから発せられた言葉は…

翔『…にの。…俺を、抱いて?』

和『…え?』

俺は耳を疑った。

…幻聴かと思って、聞き返した。

翔『抱いて、にの。…潤のこと、少しでも忘れたいんだ…』

和『で、でも…翔さん。』

翔『お願い、にの…。俺、もう苦しいんだ。』

…俺は、決心した。

…いいよ、翔さん。

俺が、潤くんのこと、忘れさせてあげる…

俺は、返事の代わりにもう一度唇を重ねた。

今度は舌を絡ませ、翔さんもそれに応えて、そして、甘い喘ぎをあげる。

そのまま唇を交わした状態で、翔さんを抱き上げて、ベッドまで行きそこに寝かせた。

和『…ほんとに、いいの?』

翔さんが、こくんとうなづいた。

俺は、ゆっくりと翔さんの服を脱がせていった…

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