テキストサイズ

A heart and wound

第2章 甘い、切ない。

その日は、2人でのロケの仕事で、一緒に飯に行こう、ということになり、その流れで俺の家に泊まることになった。

和『どーぞー、多分翔さんの部屋よりはキレイですよ。』

翔『…言うねぇ。』

なんて言って翔さんは笑った。

…無理して笑ってる。

今日翔さんが元気がないことなんて、とっくの昔に気付いてた。

…空元気。

きっと、潤くんのこと考えてる。

…だから、俺はあえてその日、その話題を出さなかった。

翔さんから言ってくることもなかった。

…いつもは、嬉しそうに潤くんとの話ばっかりするのに。

和『お茶飲む?』

翔『…んー、もらおうかな?』

和『りょーかいです!』

冷蔵庫の前に行き、中を開けた。

…あ、やばい。お茶、切らしてたから、コンビニで買おうと思ってたんだった!

和『翔さん、ゴメン!お茶切らしてた。今からコンビニで買ってくるから待ってて!』

俺が、急いで玄関に向かおうとした時、

翔『…待って。』

翔さんに腕を掴まれた。

和『…翔さん?』

翔『…お願い、行かないで。…今、俺を1人にしないで。』

そう言って、俺の肩に額を置いた。

…初めてだったんだ。

俺に、翔さんが弱さを見せてくれたのが。

俺は、自分よりも背の高い翔さんを抱きしめて、子供をあやすように髪を撫でた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ