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A heart and wound

第4章 嫉妬

和也Side

駐車場を抜けて、その建物も見えなくなったころ、沈黙を破ったのは俺だった。

和「…で、なんですか、その顔。」

潤「…え⁇」

和「…泣きそうな顔してる。」

…車に乗る前から、様子がおかしいことに気づいていた。

泣くのを堪えてるような顔に見えたんだ。

和「翔さんとなにかあった?」

潤「…なにも、ないよ?」

そう、震える声で潤は言った。

和「…そんな声で言われても、説得力ないからねー」

潤「…でも…」

なんとなく、潤が言うのを渋る理由はわかってるんだけどね。

和「…あのねぇ、恋人にそんな相談していいのかって悩んでるんだったら、遠慮しなくていいから。」

潤「…え?」

…ほら、やっぱり。

和「言っとくけどねー今更だから!潤が翔さんのことを好きなことなんて、ずっと前から知ってるし、俺だって好きなやついるし、それをお互い分かっててこういう関係になったんだから、そんなことで遠慮されても逆に困るの!」

潤「…う、うん…」

潤は、俺の勢いに気圧され、戸惑いの混じった返事を返した。

和「分かったら、話しなさい!」

潤「…あ、ありがとう。…あのね、打ち合わせの後、翔くんと少し話したんだ。」

和「…うん、それで?」

潤「そ、れで、ね?俺、相葉ちゃんのどこが好きなのか聞いたんだ。…その時の、翔くんの顔を見て、聞かなきゃよかったって、後悔した。…涙が出そうになって…」

和「うん…」

潤「…すごくね、幸せそうな顔、してて、でっ…俺には、好きな人いないの?って…それでっ」

和「…も、いいよ。潤。」

そう言うと、俺は車を道路の端にとめた。

和「…ありがとうね。話してくれて。…泣いていいよ。」

そう言って、潤を抱きしめた。

潤は、俺の胸の中に埋まると、堰を切ったように泣き出した。

…わかるから、その気持ち。

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