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A heart and wound

第5章 混沌

大野Side

智「はぁ…これ、化粧とかで誤魔化せるかなぁ?」

1人、トイレの鏡の前で赤く腫れた頬をさすった。

…朝、家にやってきたやつは、この前のキスマーク男。

もう会わない。

そうメールをして、着信も拒否設定にし、メアドも変えた。

まさかそこまで拒絶してるのに、家まで来るとは思わなかった。

…まあ、殴られるのも初めてじゃない。

切ろうとする奴はだいたい皆こんな奴。

恋人ヅラする、独占欲丸出しの勘違い野郎。

その上プライドが異様に高い。

…家まで来られたのは初めてだったけど。

…あーめんどくさい。

…お返しに股間に蹴りを入れてやったけどね。

もう、お前なんかとは会わねーよ!とかなんとか言って、帰ってった。

じゃあ最初から来んなよ。

…最悪なのが、それを翔ちゃんに見られたこと。

…変な心配かけたくないのに。

はぁ…

?「なーにしけた顔してんの⁇」

…後ろから聞き覚えのある声がした。

振り向くとその声の主はトイレの入り口付近で、体を壁に預けて立っていた。

智「…岡田っち。なんでここいるの?」

准「ん?別のスタジオで俺も撮影あんだよ。」

智「ていうか、俺、そんなしけた顔してる⁇」

そう言って、へにゃっと笑うと、彼、岡田っちこと岡田准一は、俺に近づいてきて、両頬をつねった。

智「いひゃい!はにゃせよぉ!」

准「しけた顔なんかしてっから、お仕置き〜♪」

そう言って、にっと笑うと、俺の頬から手を離した。

智「いったいなぁ、もう!」

ヒリヒリと痛む頬を両手でさすった。

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