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A heart and wound

第5章 混沌

和「…潤は、確かに翔さんが好きで。多分、数日たった今でも、俺との関係について戸惑ってると思うよ。…今は、それでも仕方ないと思う。…俺だってそうだから。

…俺、最低でさ。最初は翔さんに似たところがある潤を、翔さんの身代わりにしようとしてた。

だけど、数日過ごしてて分かったよ。潤は、潤だって。…いたずらっ子みたいな笑顔も、1人で百面相してるとこも、独り言が多いことも、潤にしかないところも。

似てるところがあるだけで、全然別の人間だよ。そんなの、10年以上も一緒にいて、わかってたことなのに。

…それで思ったんだ。これは、潤に対しても、翔さんへの俺の気持ちに対しても失礼だって。

だから俺、潤のことちゃんと好きになる努力、しようと思う。 …それで、潤にも好きになってもらう。

…そうすれば、翔さんのことも自然に思い出にできると思うんだ。」

いい終わり、岡田くんを見ると、しばらく考え込んだような顔をして静かに口を開いた。

准「…それで、まずは鍵を返す、って?」

和「うん…ねぇ、俺、間違ってるかな?」

准「ニノが、真剣に考えて出した結論だろ?」

俺が、こくんと頷くと、少し笑って、

准「それなら、それでいいんだよ。合ってるも間違ってるもない。」

そう言って、髪をくしゃっとされた。

准「…ただ、な?」

顔を上げて、岡田くんを見るとすごく真剣な顔で。

准「…ニノが、それで幸せになれるなら、俺は何も言わない。…大丈夫か?」

和「…な、なれるよ、もちろんだよ…」

准「…そっか。」

しばらく、車内に静寂が訪れた。

…きっと、思ってることは同じだったと思う。

…俺…即答、出来なかった。

俺は、岡田くんの方を向いて、にこっと笑った。

和「心配しないで?…でもまた何かあれば、話聞いてね。」

准「…いつでも、言えよ?」

和「うん。…じゃあ、仕事始まっちゃうから、もう行こっか?」

准「おう。」

俺たちは車を降り、他愛もない話を交わしながら、駐車場を出て、建物内へと入っていった。

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