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A heart and wound

第5章 混沌

和「…言いたくなかったら、言わなくてもいい…って、言いたいところなんだけど。

慰めさせてよ、俺に。」

潤「…え?」

和「しんどいでしょ?
1人で溜め込んどくのって。
潤は、心配かけるのがやだとか、俺の負担になるんじゃないかって思ってるのかもだけど…」

潤「…」

和「…俺らの関係は何?何のためにあるの?

お互い好きな人がいて、叶わない想いだって分かってて、でも諦められなくて。

その欲求をただ消化するためだけにセックスする。

…俺らって、それだけの関係?
そういうのが嫌だったから、潤は恋人になろうって思ったんじゃないの?

それに俺は…」

そこまで言って、言うのをやめた。

少し笑って、

和「…やっぱこれは、返してからにするわ。」

そう言うと、潤は少し困惑顔で、

潤「…ど、どういうこと?」

そう尋ねてきた。

和「うーん、いつか話すよ。」

潤「…う、うん⁇」

和「それよりさ…今日のこと、話してくれる?」

出来るだけ、柔らかい口調でそう聞いた。

潤「…うん、話すよ。

ありがとうね、かず。…でもその前にさ、飯食おーよ。すぐ作るから。」

和「そうしよっか。…お腹空いたし。今日、ハンバーグなんでしょ?」

そう言って笑うと、潤も笑い返して。

潤「じゃあ、ちょっと手伝ってくれる⁇」

和「もちろん!」

立ち上がり、2人、キッチンに向かった。

…俺も、潤も、翔さんのことを思い出に出来る日はくるかな?

そして、俺たちがお互いのことを心から想い合える日はくるかな?

俺の決断は間違ってなかったって、言える日はくるのかな?

…その答えがわかるのは、もう少し先で。

一つ言えるのは、誰も悪くなかったってこと。

…ただ、みんな迷子になってただけなんだ。

どうすればいいのかわからなくて、ただ自分の信じた道を進むしかなくて。

それが正解かどうかなんて誰にもわからなかった。

そして、それぞれの道が、ぶつかり合って、絡まり合っていることに、まだ気付いている人はいなかった。

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