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あと少しだけ足りない

第1章 疑問


どうしてこうなったんだろう


私は今日もそう思いながらぼんやり生きている






年齢、30代手前。彼氏ではないけど、大切な人がいて一緒に暮らせている




それを喜ぶべきなのかもしれなけど、私が思い描いていた現実とは大きくかけ離れていた






もともとバリキャリ志向だった私は、いつも自分のやっていることに疑問を感じていた


もっと高みはないのか、高みに行けるのではないか


自分なら…



そう思っていた



とにかくあの頃の私は、根拠のない自信で満ちていて、人生がむしゃらにやればなんとかなる!と、バカみたいに信じていた


25歳の時に、転職。以前から興味のあった、営業の仕事に就いた


バリバリ働けるイメージ、高給だし、仕事のためなら休みなんていらない!

そう思って飛び込んだ世界は、想像を絶するほど、ひどいものだった








暴言、罵倒、人格否定はもはや日常茶飯事



自分が誰相手に、何を売っているのか、売ることに何の意味があるのか、分からなくなる職場



大切にしたいと思っていたお客様を、陰で罵倒する上司に付きっきりで、「俺流営業哲学」とやらを見せつけられ続けた



次第に自信がなくなり、何をするにも怖くなってしまっていた。

自分が真綿で首を絞められながら、追い詰められていく感覚。毎日がじり貧だった



気が付けば入社から半年を待たずして、病気で休職…


いい歳こいた大人になって、子供みたいに大声で泣いた。家族の前でも、大切な人の前でも



会社を休職し、必死にパワハラです!と訴えたけど、会社は聞く耳を持たなかった


結局会社と紛争になって、お金で一応の解決を見た。けれど、一度大きくえぐられた傷は、1年たっても2年たっても、癒えることがなかった


何を信じればいいか分からなくなって、生きていることにも意味が見いだせなくなって、毎日ぼーっと空気を吸っては吐く、の繰り返し



この世界に私は要るのかな?


訳のわからないまま、時間だけは過ぎていく



今は少しでも家計の足しになればと、スーパーでアルバイトをしている


こんなはずじゃなかった。私がバリバリ働いて、ゆうちゃんに楽をさせるはずだったのに



看護師になったゆうちゃんのお弁当を作りながら、私の時間は止まったままだと感じていた


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