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闇夜に輝く

第10章 初シャンパン

本当は静かに開けるのがマナーだけれど、今回はノリよく大きな音を立ててシャンパンを開ける。コルクを飛ばすようなことはさすがにしなかったが。

「あはははは。ボーイさん、名前はなんて言うんだい?」

「私は筑波と言います」

「筑波さん面白いねぇ。筑波さんも飲んだら?」

土屋様にシャンパンを勧められてしまったが、海斗の役職上、まだ客席に座ってお酒を飲む事は許されていない。
海斗はシャンパンを注ぐ手を一旦止めて、失礼がないようにお断りをする。

「お気持ちは大変ありがたいのですが、私の今のメイン業務がトレンチを持つ仕事でして。万一、クラッシュしてしまった場合、酔っていてはミスで済まなくなってしまいます。申し訳ございません。今後、私が出世をしてトレンチを持つ業務を卒業しましたら、その時はお付き合い出来ると思います。でも、私のようなボーイにまでそう言って頂ける土屋様のお気持ちは大変励みになります。本当にありがとうございます。ごゆっくりお楽しみください」

細心の注意を払いながら言葉を選び丁寧に詫びると、土屋様も理解してくれた。

「そっかぁ。早く出世して一緒に飲めるようになるのを楽しみにしてるよ。それまで頑張ってな。応援するから」

「はい。ありがとうございます。失礼します」

そして素早く丁寧にシャンパンを注ぎ、席を離れた。

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