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闇夜に輝く

第10章 初シャンパン



「お疲れ様でした。頑張ったねー」

海斗が労うと、咲さんは眉毛をハの字にして申し訳なさそうな顔をする。

「いえ、そんなことないですよぉ。助けてもらってばっかりでした」

「大丈夫、初めてにしては上出来だよ。場内だって2本も入ったし」

「でも、女の子達みんなすごいですね。ぽんぽん会話が弾んでるし。店長も筑波さんも盛り上げるの上手いし」

「いやいや、慣れだよ慣れ。だけど、増田さんとお客さんの会話の距離感が絶妙なのは確かだけどね」

「ですよねぇ。私、あんなに会話のテンポが心地いい人に始めて会いました。それに凄い世界ですね。土屋さんなんて先月の私の1ヶ月の給料くらいの金額をポーンって払ってました。しかも現金で」

それを聞いた海斗も入店した当初、全く同じ感覚だったことを思い出した。

「確かに凄い世界だよね。だけどそれだけの価値があるんだと思うよ。また、それだけの価値のある女性として自分を磨き続けないとね」

「どうしたらそうなれるんですかねー」

「ゆっくりでいいんじゃない?まだ初日だし。ところで日払いどうする?今日は4時間以上働いたから1万円まで出来るけど」

「じゃぁお願いします」

「ん、了解。じゃぁこれに本名をフルネームで書いて」

そう言って日払い用の紙を渡す。
咲さんが酔って覚束ない手で名前を書いていく。

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