テキストサイズ

失くした恋の癒し方

第3章 突然の別れ

「先にシャワー使って」


狭いシャワールームに二人で入るわけにもいかず何時もカレが先に使う。


その間私は備え付けの珈琲を2つ用意して、自分の方にだけ涌かしたお湯を注ぐ。


逢瀬の度に使うこの小さな部屋が私達のお城。


普通にデートもしてみたいけど、それは叶わない夢。



知り合いに会わないように、バーも、このホテルも、それぞれの職場からは離れた隣町にある。


私は電車で三つめ。


寺嶋さんは約30分かかる。
おまけに、忙しい仕事に課長補佐という役職上、逢瀬の為に早く帰宅すると言うわけにはいかないのだから、2ヶ月に一度は仕方がないと割り切った。




「ふぅ…おいしぃ…」

少しアルコールを飲んだ後の珈琲はいくらインスタントでも、格別美味しく感じて思わず感嘆の声が漏れる。



「俺にも頼むよ」

シャワールームを出てバスタオルを巻いたカレが、向かいのソファーに腰をおろした。


浅黒く筋肉質な身体は、何度見てもうっとりする。


身体が火照り頬が染まるのを感じて、急いで珈琲のカップにお湯を注いだ。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ