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僕と娘の話

第10章 事件後の私たちの話

『次は、西美大前、次は西美大前』

バスのアナウンスが流れ
私はバスから降りる準備をする


バスは美大前で停まり
私はバス停から美大までの数分間を歩いていた



「おい、里生」


聞き覚えのある声が聞こえ振り返る

「順(じゅん)先生…ですか…」


「おはよう、里生」

私のことを呼び捨てにする男
鵠沼 順(くげぬま じゅん)
この大学の油絵の先生
順くんは、私の母の友人の息子で
昔からの知り合いで…

この美大では人気の先生

180㎝の長身
前髪が少し目にかかりそうな長さで
黒髪に黒縁メガネ
切れ長のつり目で鼻が高く
一見キツそうな顔
トレーナーに紺色のスキニー
油絵の先生とは思えない雰囲気イケメン



私はこの男のことが大嫌い





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