
齧りかけの林檎
第12章 ● 君とお鍋 ♂side
すき。
すげーすき。
告白するなら
今なのかもしれない。
でも自慢じゃないけど、
今まで自分から告白したことがないおれは、
なにも言わず彼女を抱きしめるだけだった。
「さ、冷めちゃうから、
た、食べよう?」
「そ、そうだよね!」
彼女が少し取り分けてくれて、
いただきまーすと言ってから
一口、口に入れた。
「おいっしい!」
取り分けてくれる時に、
真ん中にあったバレーボールは崩されてしまったけど、
大根おろしがいっぱい入ったお鍋は
すっごくおいしかった。
