秘密の兄妹
第2章 兄が男に変わるとき
「…冗談…でしょ…?」
「本気だよ…」
「紫織が俺のオモチャになってくれたら、その代わりに俺はお前のことを昔みたいに妹として可愛がってやる。」
「ご飯も一緒に食べるし、お前を無視したりもしない。テレビも一緒に見る。寂しい時は側にいてやる。」
「でも、もし俺のオモチャになるのを拒んだら…もう二度とお前と口をきかない。目も合わせない。お前が作ったご飯も食べない。」
俺の提案を聞いた紫織は黙った。
「どうするかお前が選べ…」
酷い提案をしてることは自分でも十分すぎるほど分かってる……。
紫織が俺を選ぶ道しかないことも知っている。
俺は寂しがりな紫織の心を利用している。
本当に悪い兄貴だ…。
「学校の登下校は…?」
「それは無理。この歳で兄妹で一緒に登校するのはおかしいだろ?…でも、帰りならたまに一緒に帰ってやってもいい…。」
「…その時は、今日みたいにスーパーの買い出しとかも付き合ってくれる?」
「ああ…。」
紫織は俺のベットのシーツをぎゅっと握りしめると絞り出すような声で答える。
「……お兄ちゃんのオモチャになる……」
「…契約成立だな。」
「……紫織…でも、もし俺を拒んだらどうなるか分かるな?お前は両親だけでなく俺にも捨てられる。よく覚えておけ…。」
「…俺がしたくなったらどんな時でも絶対に受け入れろ…」
「……はい…。」
紫織は目を潤ませて頷いた。
俺は紫織を脅して紫織を自分のものにした。
卑怯な真似をしているのは重々承知のうえだ。
…それでも、どんな手を使ってでも紫織を手に入れたかった。
紫織が俺以外の他の男に奪われるのだけはどうしても嫌だった…。