
秘密の時間
第2章 マリアの日常
______私は地味だ。
人に自分の存在を認識されないくらい。
でも、そんな私には秘密がある。
誰にも知られてはいけない秘密が…。
キーンコーンカーンコーン……
5時限目のチャイムが鳴る。
次の授業は英語だ。
女子にモテモテの岩崎先生の授業だ。
___「ここはテストに出しますので、よく聞いて下さいね」
岩崎先生はそう言って、スラスラと英語の文章を発音良く読みはじめた。
全く違和感が感じさせない発音に聞き惚れる女子諸君。
まあ、分からなくもない。
私もカッコいいと思う。
でも、それよりも……
岩崎先生は、私の横を通ると同時に私だけに見えるように意地悪な笑みを浮かべた。
そう、その表情が一番。
その表情を見るだけで、ゾクッとして…身体に電気が流れたかのように痺れ出す。
私だけが知ってる表情。
独り占めしてることに優越感さえ、感じる。
誰にも渡さない…
私だけのモノ……。
先生に対する独占欲が生まれてきている、この頃。
困ったものね。
