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第18章 それは君の好きな歌

(二宮side)

なんで、大野さんが翔くんの名前を?

どうして、知ってるの?

もしかして……

大野さんが翔くんの浮気相手だった?


余計なことばかりが、頭を過る。
考えすぎたのか、知らない間に夜になっていた。

外が暗くなることにすら気がつかなかったんだ。

「……はぁ」

もう、頭のなかごっちゃごっちゃ。

雅紀と涼介が付き合ってて、
しかも大野さんは青森に初恋の人に会いに行ってる。

その初恋の人が、翔くんだったら?

涼介が翔くんの話をしたとか?

『しょーちゃー』

“翔ちゃん”

大野さんは、そう言おうとしてたんだ。

でも、まだ確信がもてたわけじゃない。

って、信じたかったんだ。

身近に、浮気相手がいたなんて信じたくなかっただけなんだ。


自分が、惨めに思えてきて余計に辛くなっていた。


そんなとき、メールが届いた。

翔くんからだ。

〔青森のホテルでーす〕

添付されている写真を見た。
ホテルの名前よりも先に目が入ったのは

積もってる雪だった。


雪に目がいったのは、自分が汚いから。
だから…綺麗なもので自分の汚さを中和しようとするんだ。

〔雪が凄いね〕

そう返事をした。
しばらくして、返事がくる。

〔うん。寒い(笑)〕

「洋服とか大丈夫かな…」

とっさにクローゼットを開き、
服の確認をした。

〔風邪、引かないように気をつけて〕

たいして、暖かい服を持っていったわけでもなさそう。

〔わかりましたー♡寝る前にパソコン用意しといてね〕

〔はーい〕


今は、顔を合わせたくない…。

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