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第18章 それは君の好きな歌

(二宮side)

暫くテレビを見てパソコンをたちあげると、すぐに連絡が入ってきた。

櫻『二宮くん、久しぶり』
「そんなに久しぶりじゃないです」
櫻『あはは、もう数日会ってないぐらい長い一日だったよ』

俺もだよ。

別の意味で…。

櫻『大丈夫?なんか顔色悪…』
「翔くん」
櫻『ん?』

「会いに行って…いい?」

怖い。
もしかしたらって…。

怖くて仕方ない。

櫻『会いにって…』

翔くんの目が泳ぎはじめた。

「…仕事以外に用事とかある?」

意を決して言ってみた。

櫻『えっと…青森にいる友達に…』

友達?

「嘘だ…。大野さんと会うんだろ…」

櫻『えっ、な、なんで…』

確信に変わった。
翔くんと大野さんは、恋人だったんだ。

「ううん、なんでもない…」

必死で笑顔を作った。
泣かないように、

“今は、楽しいんだ”

って自分に言い聞かせたんだ。

櫻『二宮くん?』
「ちょっと体調悪いから切るね。」

櫻『二宮くん!』

「なに?」
櫻『来てよ。友達との約束はキャンセルするから』

「体調が…優れたら」

返事すらも聞かないでパソコンの電源を落とした。

「んっ、んく…」

必死に声を押し殺した。


つけっぱなしにしていたテレビからは
ただただ、笑い声が流れていた。

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