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第6章 永遠に叶わない

(大野side)

俺には、恋人がいる。

俺たちは、中学の時から付き合っていて男子校に入学したのと同時に、お互いを“恋人”と認識するようになった。

櫻「智」
「なに?翔ちゃん」

彼の名前は、櫻井翔。

頼りがいがあって、頭もいい。
もちろん、容姿だってトップクラス。

櫻「なんでもない。呼んだだけ」

少し冷たげな素振りをしてるけど、
実際はすごい優しい。

「そお?」
櫻「まぁな。…智さ、今日」
「いいよ」
櫻「えっ?まだ、なにも言ってないし」
「どうせ、出掛けようとか言うんでしょ」
櫻「そうだけど…『どうせ』ってなんだよ。『どうせ』は余計だろ」

翔ちゃんは、俺にとって命よりも大切な人。
高校生で、命よりも大切な人がいるってるのは少しおかしいけど
俺にとっては、命よりも大切なんだ。

はじめて、人を愛しいと思った。

櫻「智、ゴミついてる」
「え?どこ?」
櫻「ここ」

翔ちゃんの手が、髪に触れる。

それが、くすぐったくて身をすぼめた。

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