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第1章 風の通る坂道

(櫻井side)

「ふーん…」

俺は、店を出ようとする。

相「またお越しください」

多分、もう来ないとおもうけど。

俺は、扉を押す。

………『大野』が気になる。

「あの」
相「はい?」
「さっき言ってた『大野さん』って」
相「店長ですよ」
「あ…わかりました」

一瞬、会いたいと思ってしまった。
なんで、会わないといけないんだよ。

俺の前から、突然消えたやつに。

相「どうしました?」
「いや、なんでも」
相「なにか、叶えたい願いがあったらぜひまたお越しください」
「…はい」

俺は、扉を押して外にでた。

景色は全然変わってない。

少し、日が落ちたぐらい。

「…わかんねぇ」

俺は、呟いて坂道を下り始めた。

もしも…もしも、高校時代に戻れたとしたら俺はどうしてた?

智を…引き留めてた?
いついなくなるのかわからないのに…。

智は、俺を望んでたのか?

俺と…同じ思いだったのか?

……やべぇ。
嫌なこと、考えた。

日が落ちるのと比例するように、
俺の気持ちも暗くなっていった。

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