複雑な恋のゆくえ【完】
第3章 本音を隠す/隠さない
「アンタも相当な馬鹿野郎よね」
あたしがそういうと、千秋はしゅん、と項垂れた。
あー……カワイイ。
「そこまで言わなくてもいーじゃん葵ー……」
外では勝ち気でさっぱりしてて、という感じの千秋だが、あたしの前だと弱気で、ぐでぐでするところが好き。
馬鹿な千秋は『先に帰る』と嘘をついて図書館で閉じ籠っていた。
目線の先には、体育館裏の二人。
春斗と笑。美少年と美少女って感じで画になってる。
そう言うとまた机に突っ伏した。
「だって笑が春のこと好きっていうんだもんー! なんかいたたまれなくなっちゃってさ! どーせ私は馬鹿だよ!」
そういうとカーテンをしゃっと閉めた。
何してんだよ。
「そうね。馬鹿ね。お人好しの」
「葵ちゃーん」
泣きついてきたから甘やかせてあげた。