複雑な恋のゆくえ【完】
第3章 本音を隠す/隠さない
「あんな美男美女しらねー!」とまで叫んでいた。
そういう千秋もなかなか可愛い。
特に同い年の男子なんぞ『千秋ちゃん親衛隊』とか言って、千秋を外敵(男)から護るとかいう気持ちの悪い活動をしている。まじきもい。
そんなことは露知らずって感じで千秋は走り出した。
何もかも忘れるように。
――複雑な恋の形とか言ったけれどさ。
同性、しかもこんな馬鹿に恋してるあたしも複雑な恋の形だったりして?
ただしそれが実ることはない。
だって、
――千秋は実の弟の春斗が好きなのだから。
ねえ今日も、千秋は悲しそうに笑うんだ。