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複雑な恋のゆくえ【完】

第1章 手をさしのべる/さしのべない

「わ……ちょ、何してんだよ!」

「なんもしてない」

「してるだろーが!!!」

「え、私今なにしてる? 言ってみて」

「~っ……」

春をいじめるのは私だけでいい。
そう思うのは、私が最低だからでしょうか。

真っ赤っ赤に顔を染めた春を見て、私は笑った。

――春は春だ。

春の外面だけを見て判断するやつなんていらない。

「帰ろっか」

手を引っ張ると、「横暴だ……」と諦めたように私の隣に並んだ。

ジャージとリュックには土が付いていた。

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