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複雑な恋のゆくえ【完】

第1章 手をさしのべる/さしのべない

春はサッカーがうまい。

お父さんは全国でトップのチームの十番を背負っていた人だ。

その影響か、天才的な才能を持った春は高校のスポーツ科に入学する。

まあ、天才的な才能を持った春をほっておくはずがなく。
一年にしてレギュラー入り。

そして、そんな後輩を、先輩は見逃すはずがなく。


――前々から陰でコソコソ姑息に春を傷つける先輩が許せなかった。

春は才能があるからレギュラーいりしたのだ。
お前らとは違う。

そんな現実があるにも関わらず『親のコネ』だとかいう先輩。

「イライラするね。痛い?」

今日は顔か。
レギュラーから外したい奴がする行動とは思えんな。

なんなら足を狙え、なんて――

「痛くねえ」

そんなあんたを見てる私の方が痛い。

「ん」

私は春の手をとった。

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