複雑な恋のゆくえ【完】
第2章 手をとる/とらない
その日、俺が呼ばれたのはベタにも体育館裏だった。
「てめえ……昨日千秋ちゃんといたらしいじゃねーか」
開口一番にそう言う先輩。
……だからなに。
「だから……なんですか」
「とぼけんじゃねぇ! お前、千秋ちゃんと手ぇ繋いでただろ!? 千秋ちゃんと付き合ってんのか!?」
――あ。
この人は、なにか勘違いをしている。
「俺、秋と――」
「レギュラーになっただけでも生意気なのに、千秋ちゃんと付き合うとか、調子のってんじゃねぇ!」
聞いちゃいねぇな。
何かを言うのがめんどくさくなって、俺は口を閉じた。
「今日は忠告だけだ。あと、……千秋ちゃんと別れろ。千秋ちゃんはみんなのものなんだ」